過去のイベント

Vol.52018/04/20(FRI)
THREE1989

夜風も温みはじめた4月。華やいだ表情の観客たちを迎えたのは、ドームに広がる美しい夕焼け。今回の主役は、全員1989年生まれの3人組エレクトロ・バンドTHREE1989(スリー)だ。70〜80年代のR&Bやディスコ・サウンドを巧みに取り入れた“シティ・ポップ”で知られる彼らの楽曲と、プラネタリウムという異色の組み合わせに期待が高まる。

ドームの空色がパープルとピンクが溶け合うマジック・ブルーに変わると、ステージにキーボードのShimoが姿を現した。続いてコーラスの3人とDJのDatch、ヴォーカルのShoheyが登場。夕闇の中、彼らのデビュー曲「High Times」で『LIVE in the DARK』はスタートした。
2016年の配信時、iTunesダンス・チャートで5位を記録したこの曲は、打ち込み中心のダンス・ミュージック。しっとりとしたピアノ弾き語りからスタートし、THREE1989の特徴のひとつであるShoheyの歌唱の巧みさが際立つ。そして曲の後半ではターンテーブルからビートがドロップされる。リズムセクションの振動も心地よく、曲の終わりには観客全員がTHREE1989の世界に引き込まれていた。
2曲目は「mist」。虫の声や水音のSEとともに会場は少しずつ暗くなり、空には一つ、また一つと星が瞬きはじめる。ゆったりとしたビートにのせて曲が進むにつれ、やがて一面の星空へ。星空と音楽だけに包まれる、『LIVE in the DARK』の醍醐味である。

続く3曲目の「Ram Coke」、4曲目の「UMBRELLA」は彼らの最新ナンバーだ。雨音のSEとともに、ドームに映し出される“雨の東京”。夜景、雨に滲むネオン、そして拡散するプリズム。THREE1989の持つグルーヴと都会の夜が一気にシンクロしていく。

曲が終わりMCへ。Shoheyが「この星空は、ちょうど今日(4月20日)の東京の星空なんですよ」と語りかけると、観客から大きなどよめきが生まれた。星空談義で盛り上がった後には、Datchが「みなさんも自分だけの流れ星を探してみてください」と決めゼリフ、全員にツッコミを入れられるという一幕も。

やがて「星空の旅に一緒に出かけましょう」という言葉ともに、ライブ再開。登場したのは人気曲「Don't miss it」だ。
カーラジオのDJがTHREE1989のニューアルバム発売を宣伝する、という粋な演出のあとドームに広がったのは、夜の東京を走る車からの眺め。「寡黙なビルの谷を走り抜けていく」といった歌詞や疾走感を再現したかのような、週末の都会の華やかなイメージが実写ベースで展開される。

そして「Bland New Love」を星空と共ともに演奏し、続く「APOLLO」ではいよいよ旅は宇宙へ。ドームには大きな月が現れ、異次元の宇宙空間に、色とりどりのブロックが現れては消えていく。レトロフューチャー。未来だけれど、懐かしい、「星屑のストーリー」――THREE1989の楽曲や歌詞にぴったり寄り添う映像体験に鼓動が高鳴った。

その思いは、おそらくステージの3人も同じ。2回目のMCでは、オリジナルの映像演出が投映された3曲に触れ、「星空が迫ってくる感じ」「心が異次元に飛んでいって、自分を見下ろしているよう」などと興奮を語った。会場中が大きく頷き、本ライブの満足度が高まっていく。

MCに続いて、ドーム内は再び星でいっぱいに。往年のスタンダードナンバー「Fly me to the moon」を引用したインタールドでは、星が床面にも映し出され、ドーム全体がミラーボールのように浮遊する。
そして曲は途切れることなく彼らの人気曲「UNIVERSE」へ。その違和感のなさ、巧みな構成に震えるほどの感動を味わった。過去を敬愛し、未来へ向かう。その真摯な音楽づくりが、彼らの魅力なのだ。
最高の夜の終わりを予感させる「涙のダンスフロア」では、イントロからすでに涙腺を刺激された。切なくも美しいバラードのあと、星々は少しずつ消え去り、空が白んでいく。ラストの「Mr. Sunshine」では、メンバー同士のアイコンタクトと笑顔も印象的だった。夜は去るが、また新しい一日が始まる――そんな希望をのせて、『LIVE in the DARK』は終演を迎えた。

エレクトロ・ミュージックとプラネタリウム。異色の組み合わせに思えたTHREE1989の『LIVE in the DARK』だが、そこには新鮮な喜びと、音楽への尽きせぬ愛があった。最後のMCでShoheyが語った「これからも挑戦し続けたい」という言葉、そこにあふれていた前進する人々のパワーこそが、これからの音楽を作っていくのだと再確認させられた。『LIVE in the DARK』がそんな音楽の発信基地になっていくとしたら、こんなに素敵なことはない。

■高野麻衣(音楽ライター)



Vol.42018/02/16 (FRI)
SPECIAL OTHERS ACOUSTIC

ドームに足を踏み入れた途端、広がる美しい夕焼けが広がる。2月の真冬の夜から、心地よい風が吹く野外コンサートの夕方にトリップするような演出に、続々と入場する観客から歓声が上がる。ステージとの距離が近いこと、シートの座り心地がよいこと――フェスでの人気を誇る”SPECIAL OTHERS ACOUSTIC” (以下:S.O.A)のファンにはたまらない演出に、会場の期待感が高まっていく。

時間の経過と共にドームの空の色はやがて、ブルーとパープルとピンクが溶け合う、美しいマジック・タイムへ。BGMが止むと、ステージにメンバー4人が登場した。そして、鮮やかなギターが鳴り響く。彼らの代表曲をアコースティックアレンジした「BEN」のイントロだ。

 ギター・アンサンブルにグロッケンのメロディが重なり、“音“が次第に“音楽”になる。耳をすましているうちに、空には一つ、また一つと星が瞬きはじめる。そして、曲のクライマックスとともに広がる、一面の星空。ステージは暗闇に包まれ、会場中が息をのむ。そこにあるのは星空と音楽だけ。会場が一気にプラネタリウムの世界に惹きこまれ、一体になるのを感じた。これぞ『LIVE in the DARK』だ。

曲が終わるとステージ上では暗闇のなかメンバーが動き、それぞれの楽器を鳴らす気配がする。次は何が起こるのだろう、といつも以上に耳を澄ましてしまう。続く2曲目は「halo」。ドラムがリズムを刻みはじめると、その振動がいつも以上に直接体に響くようだった。

3曲目は、プラネタリウムのために作られたかのような名曲「Galaxy」だ。ドームの星空のなかに、遠く天の川銀河が映し出される。心地よいリズムとともに、少しずつ銀河に近づいていく。銀河のなかに入りこむと、空には星座たち現れ、過ぎ去っていく。ダイナミックに疾走する宇宙の旅――生の楽器の音と映像があいまって、まるで銀河鉄道に乗りこんだかのような温かみがある。やがて見えてくる青い光。そこにあるのは、私たちの地球だ。

4曲目は「March」。タイトルどおりの行進曲のリズムと、鍵盤ハーモニカのメロディが懐かしく、感極まる。星空の下、宇宙の旅から帰還した私たちを音楽が包み込むようだった。
うっとりしたところに、ドラム宮原の囁き声。「おはようございます」とまるでドッキリ番組のようなMCにキーボードの芹澤がツッコミを入れ、会場から笑いが起こる。しばし感動を分かちあったあと、ドーム内は再び星でいっぱいに。往年のスタンダードナンバーを引用したインタールドでは、星が床面にも映し出され、まるでミラーボールのような演出。本当に宇宙空間を自分が漂っているようにすら感じることができた。

6曲目「LINE」もS.O.Aの代表曲。まさに野外フェスの夜、という雰囲気の穏やかな曲調に合わせて、ドームには夜の森の情景が広がっていく。ゆらめくキャンプファイヤーの炎、それを囲む木々、そして頭上には星々が、音楽に合わせるようにゆっくりと日周する。プラネタリウムでしか味わえない、極上の時間が流れていく。

7曲目も、やはり彼らの代表曲をアコースティックアレンジした「STAR」。どんな「星」が見られるのだろう? ――そんな期待に意表をついて現れたのは、ドーム中を浮遊する色とりどりのフレア。音楽に寄り添いながら、色を変え、形を変えてたゆたう光の粒子に、体全体が包みこまれるような、ぞくぞくするような快感を覚えた。

再びのMCでは、男子小学生のような星座談義や星にまつわるエピソードが披露され、笑いに包まれた。「プラネタリウム、ガチ楽しい」「気持ちよくて、いつまでも語っちゃうね」というコメントに、おそらく会場中が共感したはずだ。
続いて演奏された8曲目は「Wait for the Sun」。タイトルどおり星々が少しずつ消え去り、空が白んでいく。夜明けが近いのだ、と悟ると、驚くほどの寂しさが募った。「またここでライブがしたい」という最後のMCを挟み、明日への希望に満ちたエンディング曲「IDOL」へ――万感の思いとともに、『LIVE in the DARK』は終演を迎えた。

チケットが即日ソールドアウトを記録したS.O.Aの『LIVE in the DARK』は、まさに予想を超えるおもしろさ、そして感動を私たちに与えてくれた。卓越したテクニックのみならず、親しみやすいメロディやMCが持ち味のS.O.Aだからこそ、夕焼けや星という自然へのリスペクトも、まっすぐ伝わってきたように思う。ライブはその場にいる人、もの、景色、匂い、すべてで作り上げるもの。そんな幸福な一体感を味わえた、忘れられない夜となった。彼らの再びの登場を、心から願っている。

■本文:高野麻衣(音楽ライター)



Vol.32017/09/15 (FRI)
Rie fu(リエ・フゥ)

ドーム内にオープニングSEが流れ始めると、Rie fuがバイオリン、チェロ奏者と共にプラネタリウムのステージに登場した。
普段イギリスを拠点に活動を行う彼女が日本でライブを行うのは2016年12月以来、約10ヵ月ぶりとなる。2017年初頭からプラネタリウムでのライブを企画していたというので、約9ヵ月間にも及ぶ構想、制作期間を経て本公演が実現したそうだ。

ドームに映し出された夕景が刻々と表情を変え、暗闇が広がってゆく。最初に披露されたのは代表曲『あなたがここにいる理由』。静かなピアノのイントロからライブはスタートした。そして徐々にチェロ、バイオリンの音色が重なり、駆け上がり、鍵盤のクレッシェンドと共にサビを迎える。会場は一気に彼女の“歌”に吸い込まれていく。演奏が進むに連れて場内は暗さをさらに増し、観客は「見る」ことから「聴く」に感覚をシフトしていく。

次に披露されたのは彼女のデビュー曲『decay』。原曲のアップテンポなアレンジとは異なり、緩やかで優しいアレンジだ。曲の中盤には陽は完全に沈み、一等星が一つ、また一つと瞬きながら暗闇に輝き始める。ゆっくりと日周する星々と楽曲のテンポが重なり、プラネタリウムでしか味わえない静かで深い時間が流れていた。続く『Romantic(Strings version)』が始まる頃には、既に満天の星々がドーム内に輝いていた。先程までのスローなテンポとは異なり、楽曲の持つスピード感と呼応するように星々もテンポを上げ廻り続ける。最後のサビに差し掛かると、星々の間を無数の流れ星が流れ、観客は更にプラネタリウムと音楽の世界に引き込まれていく。そして新曲『Better View』のピアノソロアレンジも特別に披露された。

「この特別な空間を一緒に共有できたら嬉しいです」とMCを挟みライブは中盤に差し掛かる。続く『Until I Say』もファンの間では特に人気の高い楽曲だ。この楽曲をイメージして特別に制作された、花びらが舞い落ちるドーム映像が映し出されると、今までの少し緊張感のあった会場が暖かな空気で包まれていくように感じた。星空以外にもこういった映像演出ができるのは最新のプラネタリウムならではだろう。

次に披露された楽曲はRie fuのファンには聞き覚えの無いイントロだった。「LIVE in the DARK」ではお馴染みとなった、星や夜に関わる特別なカバー曲。今回は事前に自身のSNSを通じファンからカバー候補曲を募集し、その中の一曲をRie fu本人が選んだそうだ。楽曲はBUMP OF CHICKENの名曲『プラネタリウム』。意外と言えば意外な選曲だが、星空に溶け込むようにアレンジされたストリングスの音色と、彼女の声に染められたこの名曲が、特別な空間をより特別に演出する。歌詞を丁寧に歌い上げるパフォーマンスは、改めて彼女の表現者としてのポテンシャルの高さを示していた。

『プラネタリウム』が終わると、ドームには満月が映し出され『ツキアカリ』が演奏される。これもこのライブの為の特別な映像演出だ。まるで月明かりに照らされるように会場がうっすらと明るくなると、気持ちよさそうにうたた寝する人もちらほら居ることに気付く。この贅沢もプラネタリウムでの楽しみの一つなのかも知れない。

MCを挟み、ライブは後半に差し掛かる。新曲『Some Day』は楽器をアコースティック・ギターに持ち替えて披露された。夜の暗い海が投映され、星空とはまた違う“夜”が表現される。続いて『I Wanna Go To A Place...』がギターとストリングスで演奏される。このライブで最もエモーショナルに歌う彼女の歌声に導かれるように、徐々に夜が明け、真っ赤に染まる朝焼けが映し出された。そしてMCを挟み、最後の楽曲『Life is Like a Boat』が披露され「LIVE in the DARK」は終演を迎えた。

音楽は“記憶”と言い換えることができると思う。それは、音楽を聞くと当時の記憶が鮮明によみがえり、その時の感情までをも呼び起こす事があるからだ。特に名曲と言われる楽曲は、それぞれがその曲に対して、それぞれの記憶を宿している。最後に演奏された『Life is Like a Boat』もそういった意味でまさに“名曲”だ。13年以上前に発表されたこの楽曲を観客はそれぞれの記憶と重ね合わせて聞いていたに違いない。ドームには海に昇る朝日が映し出される。人生の船出と決意をテーマに歌われるこの楽曲に合わせた特別な演出だった。きっと「LIVE in the DARK」で聴いた『Life is Like a Boat』はまた、それぞれの新たな記憶となって、さらに名曲として聴き続けられるのだろう。



Vol.22017/07/20 (THU)
Schroeder-Headz

開場と同時にドームに投映されていた、夕景は時間と共に徐々に暗さを増し、“夜”が始まろうとしていた。19時30分、ステージに登場したSchroeder-Headz(渡辺シュンスケ)を観客は大きな拍手で出迎えた。ここから約1時間、MC無しのノンストップのライブがスタートする。ピアノの前に着いた渡辺シュンスケから感じ取れる緊張感が、一瞬にしてドーム内の空気を変え、誰もが彼が発する最初の“一音”に耳を澄ませていた。

この日、渡辺シュンスケが1曲目に選んだ楽曲は3rdアルバム『特異点』に収録されている「Lake bed」。ノスタルジックなイントロから「LIVE in the DARK」は静かにスタートした。演奏が進むにつれ、闇に包まれたドームには、徐々に一等星が輝き始める。曲の終盤には、暗闇、ピアノの旋律、そして満天の星々だけが残されていた。

続く「Newdays」もピアノソロによる演奏が行われた。演出は引き続き、満天の星々のみ。ゆっくりと日周運動をする星空に、明るく軽快なメロディーが響き渡る。改めて、『星空』という演出は、明るい曲も、落ち着いた曲も、聴き手のイマジネーションを高揚させ、それぞれの感性によって感動を生み出すものだと感じた。それは決して派手な演出ではないが、とても刺激的な体験なのだ。

続いて演奏される4曲には、全天周ドーム映像の演出が用意されていた。映像演出を担当したのは、数多くのライブ演出を手掛けるビジュアルデザインスタジオ“HERE.”。プラネタリウムで体験する全天周ドーム映像は、平面のスクリーンでは決して味わうことのできない、圧倒的な没入感がある。それは、自分自身がその映像世界に“入り込んだような感覚”といっても過言ではないだろう。

「Petal」では幾何学模様の世界を、「Surface」では空中を浮遊する感覚を、続く「Wildthing's Arm」では近未来SF映画のCGの様な不思議な世界へ、そして「Blue Bird」では水彩で描かれた絵本の世界へと繋がる。目の前に広がる非日常的な映像世界と、Schroeder-Headzの演奏がシンクロし、観客は一気に引き込まれ、感覚が覚醒していく。これもプラネタリウムライブでしかできない唯一無二の体験だ。

映像が終わると、ひと時の夢から覚めたように、満天の星々が煌めいていた。続く楽曲は、ピアノソロによる「インタールード」。即興で奏でられる、緩やかで美しい演奏に、覚醒した感覚が徐々にクールダウンしていく。そしてライブはクライマックスへ。

続く「HORIZON」でも全天周の映像演出が用意されていた。一言で表すと、それは万華鏡の中に入り込んだ感覚。花火のようなカラフルな光の粒子や線が、ドーム内を飛び交いながら幾重にも重なり、演奏に合わせて変化を繰り返す。ストリングスのオケに合わせ奏でられるピアノの旋律は、観客を優しく包み込み、まるで魔法の様に音楽と映像の世界に吸い込んでいく。

そして映像が終わると再び星夜の世界へ。最後の楽曲「DAWN」が演奏され始めると、徐々に夜空は白み、朝焼けが映し出された。演奏が終わり、渡辺シュンスケが立ち上がると、会場は大きな拍手でつつみ込まれていた。渡辺シュンスケは穏やかな表情で「星空も映像も美しく、僕自身も気持ちよく演奏させて頂きました」と語り、舞台を後にした。

プラネタリウムは星空を鑑賞する場所、宇宙を勉強する場所、という概念はもはや本イベントにおいては存在しなかった。リアルな星空、視野を覆い尽くす美しいドーム映像、そしてSchroeder-Headzが奏でる、繊細で優雅なピアノの旋律。そのすべてが高次元で融合し、プラネタリウムでありながら、全く新しい音楽エンターテインメント空間が形成されていたからだ。
そもそも都会で生活する人々にとっては、光害のない“真の暗闇”の中で満天の星々を見ること自体が“非日常体験”であり、その中で全神経を集中させて、音楽に向き合うことは他の音楽イベントでは味わえない、貴重な体験だったに違いない。



Vol.12017/04/12 (WED)
安藤 裕子

安藤裕子が人前で歌うのは、昨年12月のイベント出演以来、約4か月ぶり。座席数はわずか200席。プラネタリウムという、特殊な環境が作りだす期待と緊張感で、場内は他のライブには無い独特の空気で満たされていた。開場時、プラネタリウムドームには夕景が映し出され、本物の陽が落ちていくかのように徐々に場内は暗く、そして静かになっていく。

「お疲れの方もいらっしゃると思いますので、寝てしまった人を起こさないように、拍手はやめておきましょうね」という安藤らしいMCで『LIVE in the DARK』は幕を開けた。この日、一曲目に歌われたのは1stミニアルバムに収録の『summer』。本人が事前にSNSなどでアナウンスしていた通りの選曲に、観客の期待感は、より一層高まりを見せる。「うっすらとスターライツ!」と唄われるサビに差し掛かると、夕暮れはその深さを増し、空には一等星が瞬きながら輝き始めていた。曲の終盤には完全に陽は沈み、はわずかなステージ照明と安藤の歌声、そして満天の星々だけが残されていた。

続く『勘違い』『星とワルツ』ではステージ照明も、さらにぐっと落とされ、プラネタリウム機が映し出す“高精細な星々”と“音楽”のみ。他のライブではあまり経験できない特別な空間が形成されていく。ピアノとギターによるシンプルな編成で歌う安藤の歌声は、まるで星明りから降り注ぐような不思議な感覚に囚われ、改めて彼女の表現者としての才覚が際立っていた。

プラネタリウムには星空を愉しむ以外に、もう一つ大きな魅力がある。それは視野を覆い尽くす程に、ドーム全体に広がる全天周の映像だ。シングル曲でもある『海原の月』『The Still Steel Down』では、雲間に灯る月明かり、海に沈む月、そして四季が緩やかに巡り、オーロラの映像が映し出されると、その圧倒的な没入感と、彼女の心地よい歌声に観客はさらにプラネタリウムの世界に飲み込まれていく。

続く『唄い前夜』でも、安藤の優しくそして静謐(せいひつ)な歌声と共に、天の川銀河、太陽系が現れ、私たちの住む地球が映し出された。それはまるで、宇宙から地球を眺めているような浮遊感すらも感じられた。決して派手ではないが、この美しい音楽と映像の融合はプラネタリウムならではだ。

場内に再び星々が輝くと、「プラネタリウム」(原曲:大塚愛)が披露された。ドーム全天に投影された88星座の下、原曲よりもテンポを落としたアレンジでゆったりとした時間が流れていく。そして『のうぜんかつら(リプライズ)』が始まると徐々に夜空は白み、朝陽と共にライブはクライマックスへ。朝を迎え、ドームいっぱいに広がる青空の下、安藤は小沢健二の名曲「ぼくらが旅に出る理由」を力の限り歌い上げ会場を後にした。

星々が輝く暗闇の中、耳を澄まして感覚を研ぎ澄ませる。これは非常に集中力と体力がいる。開演中は、安藤の顔さえも見ることのできない場面もあるライブだったが、だからこそ普段のライブでは見落としてしまいそうな微かな声の揺らぎや、感情の起伏を感じることができる。プラネタリウムという特殊な環境と、感情表現に長けた安藤裕子の“歌声”がシンクロした、唯一無二のライブとなった。

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